「そういえば璃子、お母さんと話したか…?」
「…まだ話してない」
「…そっか」
お母さんはあたしが東京の大学に行くことに反対していた。
でも、あたしは誰に何と言われようと外の世界に行くと決めていた。
それで、今は喧嘩中。
たぶん、このまま東京に行くことになると思う。
「俺に出来ることがあったら言えよ」
「…うん。でも、大丈夫だから」
「…無理すんなよ?」
「うん。平気」
本当は平気ではない。
今、お母さんと話したら東京に行けないかもしれない。
そう思うと勇気が出なかった。
でも、篤人には迷惑かけたくない。

