「お前の勉強を邪魔したくなかった。それに、決断したのもギリギリだったし」
「…そうなの?」
「あぁ。お前が外の世界が見たいって言ってたのを思い出して、俺も見たいって思った」
「…そうだったんだ」
…いつまでも、この狭い世界にいるなんて人生もったいない。
今よりもずっといい暮らしして、
働いて、
好きな人も作って、
悔いのない生き方をしたい。
「…璃子と同じ大学にすればよかったな」
「…え⁉︎ダメだよ!篤人は東京の名門大学に行くんだから!」
「…別に知名度とかどうでもいい」
「そんなこと言わないで。…東京でもまた会おう?」
「…あぁ」
篤人は昔から頭が良かった。
だから、先生からも東京の名門大学に受かると期待されていた。
そして、見事に合格。
あたしは頭は良くなかったから、
必死で勉強した。
それでも、篤人に追いつくことは出来なかった。
でも、東京の大学には受かることが出来た。
それだけでいい。
それだけで十分。
外の世界へ歩めるのなら…

