高校の卒業式。
とうとう別れの時がやって来た。
クラスの皆にも、
篤人にも。
「…璃子」
話しかけてきたのは、篤人だった。
「篤人」
「卒業おめでとう」
「篤人もおめでとう」
「おう」
周りでは泣いたり笑ったりと賑やかだった。
「もう会えなくなるな」
「…そうだね」
「毎日顔合わせてたのにな…」
「…寂しくなるね」
「…また会えるだろ」
「…びっくりしたよ。篤人も東京の大学に行くって聞いて」
「…あぁ」
「…どうしてもっと早く教えてくれなかったの?」
篤人が東京の大学に進学することは最近知った。
もっと早く言ってくれれば良かったのに…

