屋上からは、遠くの山、近くを流れる川が見えた。川べりを散歩する人も見える。
ビルも多いが、緑と上手に共存しているように見えた。
「気持ちいいね」
「ちょっと風は冷たいけどね」
「この位がいいよ。私、夏の暑さには弱いの」
「名前に夏って字が入ってるのに?」
「誕生日が7月だからね。だけど、夏に生まれたからって、好きとは限らないわ」
「私は寒いのが苦手。まあ、夏の暑さにも弱いけど」
「俺は夏が1番好きだ。泳げるし」
「篠原くん、泳ぐの好きなの?」
「ああ」
「そういえば篠原、水泳の成績だけいつもAよね」
どういう心境の変化か、彼を無視していた智美が、彼に声を掛けた。
「水泳だけっていうのは余計だ。でも、そうかもな。俺、勉強大嫌いだし」
「篠原、卒業したらどうするの?」
「働く」
「そう」
「俺、バカだから単純作業の工場とか、あんまり頭使わなくて済むところがいいや」
「美夏」
振り向くと、ジャージ姿の春哉が立っていた。
「兄さん・・・」
「こら、学校では先生だろ」
智美達が目を輝かせている。憧れの先生と、昼休みにこうして会えるとは思ってなかったからだ。
「何だ、篠原も一緒か」
「うぜ」
「何だと?」
「まあまあ先生。ねえ見て。ここからの景色素敵でしょ?」
美夏は不穏な空気を察知し、話を逸らした。
「けっこう遠くまで見渡せるんだな」
「うん。地上からじゃビルしか見えないけどね。ねえ、今度あそこの山に行ってみようよ」
「あの山、登れるのか?」
「登れますよ。頂上まで道あるし、展望台もあるんです」
智美が、ここぞとばかりに口を挟んだ。
「そうなんです。展望台からの眺めは最高ですよ」
負けじと直子も口を挟んだ。
「そうか。それじゃ、今度行ってみようか」
「先生、私達も連れてって下さい!」
「えっ?」
胸の前で手を組んだ2人は、目を輝かせて先生の方を見ていた。
ビルも多いが、緑と上手に共存しているように見えた。
「気持ちいいね」
「ちょっと風は冷たいけどね」
「この位がいいよ。私、夏の暑さには弱いの」
「名前に夏って字が入ってるのに?」
「誕生日が7月だからね。だけど、夏に生まれたからって、好きとは限らないわ」
「私は寒いのが苦手。まあ、夏の暑さにも弱いけど」
「俺は夏が1番好きだ。泳げるし」
「篠原くん、泳ぐの好きなの?」
「ああ」
「そういえば篠原、水泳の成績だけいつもAよね」
どういう心境の変化か、彼を無視していた智美が、彼に声を掛けた。
「水泳だけっていうのは余計だ。でも、そうかもな。俺、勉強大嫌いだし」
「篠原、卒業したらどうするの?」
「働く」
「そう」
「俺、バカだから単純作業の工場とか、あんまり頭使わなくて済むところがいいや」
「美夏」
振り向くと、ジャージ姿の春哉が立っていた。
「兄さん・・・」
「こら、学校では先生だろ」
智美達が目を輝かせている。憧れの先生と、昼休みにこうして会えるとは思ってなかったからだ。
「何だ、篠原も一緒か」
「うぜ」
「何だと?」
「まあまあ先生。ねえ見て。ここからの景色素敵でしょ?」
美夏は不穏な空気を察知し、話を逸らした。
「けっこう遠くまで見渡せるんだな」
「うん。地上からじゃビルしか見えないけどね。ねえ、今度あそこの山に行ってみようよ」
「あの山、登れるのか?」
「登れますよ。頂上まで道あるし、展望台もあるんです」
智美が、ここぞとばかりに口を挟んだ。
「そうなんです。展望台からの眺めは最高ですよ」
負けじと直子も口を挟んだ。
「そうか。それじゃ、今度行ってみようか」
「先生、私達も連れてって下さい!」
「えっ?」
胸の前で手を組んだ2人は、目を輝かせて先生の方を見ていた。



