きょうは待ちに待った体育祭。中学校からの観戦は風に乗って街中に響く。

奏で応援団と用具係に所属しており、普段ブレザー姿だが今日は学ランを着て応援をしている。女子が鼻血を出しているのはそのせいだ。

「流石モテモテ王子っ‼︎」
「またファンが増えるなw」
「羨ましいかぎりだぜw」

と男子からひやかされるが奏は

「ありがたいねっニコッ」と答えるだけだ。

うるせーなー。俺のこと本気で好きじゃねーだろ。キャッキャいってるだけの奴らは嫌いなんだよ。などと思いつつ、愛想笑をしているのが日常になっている。

澪というと実行委員と用具係の掛け持ちだ。用具係では一年生の出し物、障害物競走の時に奏とレジャーシートを抑える係りだ。

〜次は一年生全員による障害物競走です〜
「みお‼︎行くぞ。」
「うん‼︎」

レジャーシートを抑えるだけだが結構腰に来る。

「何あれ…。」
「ん⁇え…。」

茶色の竜巻が襲ってくる。砂嵐だ。

〜て、テントの中に入れ‼︎〜

「澪‼︎」

奏は澪の手をひっぱりレジャーシートの中に入る。


「…収まったか。澪、顔上げろ。」
「…ん。うん。」
チュッ
「…っ⁉︎⁉︎」
「どした⁇出るぞ。」
「は、はひ‼︎」

澪のやつ…wちゅーしただけで真っ赤とかおもしれえww

その後も役割を果たし
「や、やっと終わった‼︎」
「席戻るぞー。」
「い、いぇっさー‼︎」
二人は分かれて座った。

次の種目は全校男子種目、騎馬戦。
澪はチアガール(じゃんけんで負けた)としてトラック内で応援をする。

トーナメント戦のいよいよ決勝戦。残っているのは…奏が率いる二年生と、青ブロック団長率いる三年生。

パーンッ‼︎

合図と共に、激しい取っ組み合いが始まり、歓声が上がる。
どちらも服が乱れ、倒れそうになりながらも必死になって相手を落とそうとしている。

「頑張れー‼︎」
「ふぁいとー‼︎」
「いけー‼︎」などと歓声も強まる。

澪もチアガールとして必死に応援をする。

奏は赤ブロック(澪、沙梨もいる)の勝利をかけているためかいつになく必死だ。

見ているこっちがはらはらするような戦いが三分ほど経過した時…
「奏くーん‼︎」
「かっこいいー‼︎♡」
「「いけいけあーか‼︎おせおせあーか‼︎」」
「頑張れえーーーー……ん⁇」
「え…⁇」
「……⁇」

会場全体が静まりかえった。