大好きな手

野田敦サイド

俺は野田敦。
中学に入ってから急に背が伸び、気がついたら183センチになってた。

それくらいから、煩い女たちが纏わり付いてくるようになった。

俺だって、男だから何回か遊んだ事もあるし、女に興味が無いわけじゃない。
でも高校に上がる頃には、群がる女はうっとおしいと思った。


そして、高校の入学式で絵里と桃香に会ったんだ。

入学式の日は晴れてたけど、その前日まで何日も雨続きで地面はそこらじゅう水たまりだらけだった。


俺の前を、誰の目も惹きつけるような美人と、誰もが守ってやりたくなるようなふわふわしたカワイイ子が仲良さげに歩いてたんだ。
その時はどちらかと言うと、
美人の方より、ほんわかした方の子のがタイプだなと思った。

その時、トラックが通りすぎ、なぜか少し後ろを歩いてた俺だけが水浸しに。


振り返る2人。

唖然とする俺。


その瞬間、美人の方の子がおもいっき笑ったんだ。


「あははははは(笑)‼︎‼︎くくくくくくっ(笑)‼︎‼︎だ だ だいじょーぶですか??
あれあれ、こんなに濡れちゃって。風邪引いたら大変‼︎‼︎」


そう言って、持ってたタオルで顔を拭いてくれて、俺の着てたブレザーを無理やり脱がすと、自分が着てたブレザーを肩に掛けてくれたんだ。


「えっとー、私は新入生なんですが、あなたは先輩ですか?」

「いや、俺も1年」


「なら、良かった!私は相原絵里で、この子は佐々木桃香。よろしくね!!私は大丈夫だから少しの間、私のブレザー羽織ってなよ!女子の中では小さい方じゃないんだけど、やっぱ君大きいから私のじゃ腕も通らないねぇ。ごめんね!でも肩冷やさない方がいいから。少しの間我慢してね!それじゃ、またね!!」


その時の笑顔が超絶に可愛くて俺は暫し固まった。

そしたらいつの間にか行ってしまった。


ええー!制服どうすんの??
相原絵里さんよー!その格好で入学式はかなり目立ちますって!しかもあなたその容姿でその格好はヤバイですってー!


急いで追いかけたら、クラス発表の前に2人はいた。


2人は手を握ってぶんぶん振り回して喜んでた。


「きゃー!桃香〜‼︎同じクラスだよ〜‼︎」


「わーい!クラス変えは3年になる時まで無いって、雄大が言ってたね!!2年間また絵里と一緒にいられるね〜‼︎」


と2人はテンション上げ上げでまたもや行ってしまった。


俺は急いでクラス発表を見て、教室に行ったら。


いたーーーー!!
あの二人と同じクラスだった。


「相原さん、俺、野田敦。同じクラスみたいだな!制服ありがとな!よろしく‼︎」


はぁー、やっと制服返せた。


入学式であの子を目立たせたくない。


あれ??俺??何感じちゃってんの??
相原さんを誰にも見られたくない。
誰にも触らせたくない。
誰にも。


これが恋??


ええー!こんな簡単に俺って落ちちゃうの??


中学の時は近隣の中学の女子まで俺を見に来てた。
女なんて周りにたくさんうじゃうじゃいたのに誰にも興味湧かなかった。

そんな俺が、こんな簡単に1人の女に夢中になっちまったんだ。


だからゆっくりと、絵里との距離を縮めていければと思ってたんだ。
そのために、周りの男どもを威嚇して絵里の側にいつもいた。

俺と絵里が付き合ってるように見えるように振舞った。

それでもたまに絵里に告ってくる奴はいたけど、ことごとく邪魔してやった。

恋バナになった時は

「俺はどちらかというと美人で大人っぽい雰囲気の奴がいいな。」
「美人なのにお高く止まってない奴がいいな。」

それとなく言ってるのに、超絶鈍感天然娘には全く通じず。
俺の女の趣味は年上のボンキュッボンだと今だに思っている。ボンキュッボン嫌じゃねぇけど、お前以外の女見ても何も感じねぇんだよ!


それに反して、可愛くてほんわかしてるけど、実は男勝りな超絶敏感娘にはすぐに気付かれ、影で散々いじられ、ヘタレ野郎とまで言われる始末。




1年の3学期に入った頃、絵里の口からたまに岩崎くんという名前が出るようになった。

朝、通学時に会うらしい。
バスケ部で、顔もかなりの二枚目で1年でレギュラーになっちまうほど上手いらしく、俺と同じくらい、いやそれ以上に女から騒がれてる奴。

うちの高校はスポーツ校と言われる程に部活動が盛んで強い。もちろんバスケ部も強化指定部なため、ここで1年でレギュラーになる奴なんて本当に凄い事なんだ。

1年は二学期までは体力作りメインで、あまりボールに触れないらしい。岩崎はレギュラーだから例外だったみたいだけど。
1年は二学期までは朝練が
普通にボールに触れる貴重な時間らしく、岩崎も他の1年と一緒に朝練に参加してたようだ。

そんないらん情報を度々、絵里の口から出るようになった。



桃香は水泳部のマネージャーで
一学年上の水泳部のエースと付き合ってて
その彼氏がオリンピック候補生なため、かなり厳しい練習スケジュールに全部付き添ってサポートしてるから
絵里と登下校はナカナカ難しいんだ。


「うかうかしてると、岩崎健人に絵里もってかれちゃうよ??
敦と絵里もお似合いだけど、岩崎健人と絵里もお似合いだから!
私は絵里の味方だかんね!
敦とも私は友達のつもり。だから今まで散々ハッパかけてきたでしょ!」


「わかってるよ!わかってるけど、、、」


「結局、敦は今の関係を壊したくないだけじゃんか!ヘタレ野郎!!」


桃ちゃん、怖い。ぐすん。



ある時、岩崎くんからタケちゃんに変わったんだ。

「岩崎くんね、お母さんからタケちゃんって呼ばれてるんだって!(笑)だから私もタケちゃんって呼んだら、恥ずかしいから絶対ヤメて‼︎‼︎だって(笑)絶対私、タケちゃんって呼ぶ〜!!」


クラスにも1度、岩崎が来たことかあった。

クラスの女子たちがギャーギャー騒いでる横で、涼しい顔して桃香に


「ねぇ、君。絵里の友達だよね?絵里知らない??英和辞典借りたいんだけど???」

「あぁー、絵里は今職員室に用事があって行ってるの。 必要なら私貸すけど?」


「いや、そっか。ならいいんだ!」


と言って、俺の方に向いて、見定めるようにジロジロ見てきやがった。
男の俺から見ても、気持ちが悪い程にカッコいい奴。

俺から一瞬たりとも目をそらさずに言ったんだ。

「あんた、絵里のナニ?」


「気になる??」

とバカにしたように言ってやった。

「いや、別にいい。」

と言って足早に教室から出て行った。


それから戻ってきた絵里に桃香が岩崎が来たことを言おうとしたけど、邪魔しまくって阻止してやった。


それくらい許せよな。


それから一ヶ月後、岩崎は俺が出来なかった事を簡単にやってのけて、簡単に絵里をゲットしやがった。


俺は1年かかっても出来なかった事を簡単に。

お前が岩崎のモノになっても、お前を好きな気持ちは消えそうにないや。


でも、お前が泣いてるのはもっと嫌なんだ。


だから岩崎、頼むから絵里を泣かすんじゃねぇよ!!


泣かせたら、もう俺は絵里を絶対にお前の所に帰さない。




「あーつーしー‼︎‼︎次、移動教室だって!一緒に行こう!!?」

本当かわいいやつ。

「絵里、野田はいつオオカミになるかわかったもんじゃねぇ。そんな顔で呼ぶんじゃねぇ!」


「え?どんな顔??オオカミ???」


ぷっ(笑)


ではお言葉に甘えて

「絵里ちゃん。今日もカワイイね!さて、移動教室に行きますか?それとも2人で楽しい事する?」

後ろから抱きしめて言ってやった。


「てめえ!触るんじゃねぇ!俺んだ!!」

ムキになって、俺から引き剥がしてすぐに自分の胸の中に閉じこめる岩崎。


俺だって、そんなん見たかねぇや!

「ほら、冗談だって!絵里、行くぞ!!」


「あっ、うん。行こう敦!
ごめんね、タケちゃんまた後でね!」


「嫌だ!なんで野田は良くて、俺は後でなの!俺も絵里といたい〜‼︎」


「はぁ、学校の無愛想王子2人のこんな姿、正直見たくないわ。でも、これは金のニオイがしますなぁ〜‼︎絵里さんよ!!」


「あはは!桃香ウケる!!もう2人とも本当にお互い意識しすぎなんだよ!!大丈夫‼︎‼︎2人ともすごくカッコいいから。私嘘つきません!」


「どうしてそういつも、ネジ違えるんでしょ。この娘は」


「ん??」



まっ!これからも俺はお前の事が好きだからな!!


覚悟しとけよ!!(笑)


第4話終わり