「咲良はどう思ったか知らないですけど、俺があの立場だったら同じことをすると思います」

我慢?

…そんなにいいことじゃなくて、結局自分が傷つくのが嫌で自分から手放したんだって。

みんなそう思ってると思ってた。

こんな風に言われるなんて思わなかった。

「あのときはまだ教師と生徒だったけど、今は違う。だからってそう簡単にいくわけじゃないけど、もう我慢する理由なんてないじゃないですか」

「…俺、応援されてるんですか?」

「いや、俺応援も協力もしないんで」

そんなことを言うくせに、俺に言う言葉は応援にしか聞こえない。

背中を押されてるようにしか聞こえない。


「咲良は別れてもずっと篠原先生のことが好きでしたよ」

ふとメッセージカードに書かれたことを思い出した。

一方的に別れた後も茉央ちゃんは俺のことを見ていてくれた。それは聞かなくても分かってた。

だから目を合わせないように見なかったし、話しかけなかった。