あのね、先生。


「じゃあお前…奪うつもり?」

「そうなるね」

「…ほんと、お前って恐ろしい男だよな。茉央ちゃんに会って変わったっつーか、元々そうなのかもしんねぇけど」

茉央ちゃんはたまに自分がすごく嫌な女だって言うけど、それを言うなら俺の方が嫌な男だよ。

自分がこんなに嫌なやつだって、茉央ちゃんに出逢うまで気づかなかったんだから、ほんとに嫌なやつだ。


「それでさ、いろいろあってまぁ、今茉央ちゃんからの連絡を待ってるとこなんだけどね」

「何、話したかったのってそれ?俺てっきり相談でもされんのかと思ってたんだけど」

よく分かってるね。

なんて言ったらユータはきっと、何年一緒にいると思ってんだ。って言うと思うから言わない。

まぁでも、さすがだと思う。

学生時代は特に、俺ユータがいなかったら卒業出来てないんじゃないかってくらいお世話になった。

こんなにいいやつ滅多にいないよね。