「そっか。全然治ってるように見えねぇけどな」
「包帯もガーゼもまだとれないからだよ。隠れてるから分からないだけ」
そりゃそうだよね。
優真はあれ以来、包帯とガーゼをしたとこしか見てないんだから。キズが今どうなってるか知らないんだ。
確かにまだ痛むけど、最初に比べたらだいぶマシになった。
「そ、早くとれるといいな」
「きっともうすぐだよ」
優真はゆっくりしか歩けないあたしのペースに合わせて、時々確認するようにペースを落とす。
何も言わないのに、さり気なくこうして気を遣ってくれるんだ。
言わないのはきっと、あたしが気にして無理をしないようにだよね。
「茉央」
「何?」
優真はずっと考えてるのかな。
ちゃんと話しを聞くって言ったこと。
あたしが話す内容を分かってて、その上でそう言ったんだよね。