保健医の吉野先生に用事があって保健室に行ったらいない。

別の用事があった篠原先生に会いに美術準備室に行ったらいない。

…どーなってんだこの学校。

もうすぐ夏休みで浮き足立ってんのは生徒だけじゃねーな。


なんて思ってた矢先。

「お、いた」

私服姿で保健室のドアを開ける吉野先生が見えて、俺も保健室に向かった。

正直、俺あの先生苦手だし。篠原先生とのこと知ってるから気まずいし、出来れば早く話終わらせたいけど。


「…あの、ちょっといいですか?」

ドアを開けて見えた吉野先生の泣き顔に、正直心の底からタイミング間違えたって思ったんだ。

好きでもない女が泣いてるとこに出くわすなんて面倒以外の何者でもない。

うわ、俺最低。