飲み物を出して茉央ちゃんの隣に座ると、茉央ちゃんはいつも以上に緊張した様子で俺をジッと見つめた。

俺が悪いんだ、俺だけが悪いんだ。そう言うと、茉央ちゃんはいつも不服そうな顔をしていた。

そういうことか。

自分だけ守られるのは嫌だって。

確かに、茉央ちゃんはそんなに大人しくニコニコしてるようなお姫様じゃない。

そんな子だったら多分、あのとき俺を追いかけてきたりしなかった。


「吉野先生に、茉央ちゃんと付き合ってんのかって聞かれたんだよね」

「…見られてたんだよね?」

「うん。それで、バラされたくなかったら付き合えって。もちろん断ったけど」

自分から聞いたのに、茉央ちゃんは少しムッとした。それさえも可愛いと思ってしまうんだから重症だ。

もう俺、この子以外無理だ。

隣にいるのはいつでも茉央ちゃんがいい。