『…茉央ちゃん』

あたしが何も言わないから、先生は少し落ち着いた口調で言った。

『俺ね、すげー会いたい』

あぁ、ダメだ。

ほんとに単純な女。

『でも、茉央ちゃんがどうしてもダメだって言うなら、仕方ないから』

…先生、あたしズルイね。

そんな風に言われると、もっと強引に誘って、なんて思ってしまうんだ。


『俺が会いに行ってもいい?』

「え…?」

『茉央ちゃんが来ないって言うなら、俺が行ってもいい?』

…先生、ズルい。

あたしがいいよって言わないのを分かっててこんな風に言ってくるんだから。


「それは…ダメ」

『んふふ、やっぱダメかー』

「…だけど、あたしが会いに行くから、待っててくれる?」