あのね、先生。


いつも強引にあたしを連れ出してくれてた先生が、心のどこかで優真の存在を気にしてたなんて。

気にしてるのはあたしだけじゃない。


「気にしてるくせに触れちゃうんだから、俺すげー悪い人だね」

先生の手が頬に触れて、少し困ったように笑った。

「…先生は、悪い人じゃないよ。いつもあたしを助けてくれる」

むしろいい人でしょう?

先生のことを悪い人だなんて言う人がいるなら、その人は先生のこと全然知らないからだよ。


「…茉央ちゃん、俺いい人じゃないよ」

「え?」

先生との距離がグッと縮まって、唇が少しだけ触れた。

「優しくもないよ」

一瞬離れたそれは、何度も何度もあたしのに触れたり離れたりを繰り返す。