「でも…にぃちゃんは、おれなんかいらないんだ」
「どうして?」
急にシュン…としてしまった流星くん。
「おれのお迎えとかごはんより、べんきょうしたいはずだもん。おれ、にぃちゃんのじゃましかしてない…」
目をうるうるとさせながら、泣かないように必死なのがわかる。
「さっきも、おれ、わがまま言ってにぃちゃんのこと怒らせた…。ごめんなさいも言わなかったからおれのこと、キライなんだ」
自分に厳しい人なんだろうなってずっと思ってたけど、本当にそうみたいだな。
「お兄ちゃんは流星くんのこと、嫌いじゃないと思うよ?」
「ほんと…?」
「ほんとほんと!嫌いだったら私に弟のことよろしく、なんて言わないもん」
大きな目からは涙がポロポロと落ちていて、私は笑顔を向けてその涙を拭いてあげることしかできなかった。
「よし!美味しいケーキ作ってお兄ちゃんに渡そう!その時にごめんなさいってちゃんと言おうね」
「うん…!!!」
笑顔を取り戻した流星くんの頭をくしゃくしゃに撫でてから作業を再開した。

