紫苑くんと急いで来たのは、病院だった。
「紫苑くん、電気消えてるけど…」
でも、電気が消えていて今日の診察は終わっている様だった。
「大丈夫。ここ、俺の家。親父が診てくれるって」
「え⁉︎」
驚いている私を置いて、スタスタと中に入っていく紫苑くんを慌てて追いかける。
中に入ると白衣を着た40歳くらいのかっこいい医師であろう男の人がいた。
「よろしく」
「まかせとけ」
「お願いします」
燐奈を預け、私は紫苑くんと待合室で待つことになった。
「ごめんね、急に…」
「いいんだよ。侑未ちゃんだって初めての事で慌ててたんでしょ。俺でよければいつでも頼ってくれていいから」
優しい笑顔を向け、私の頭を撫でてくれる。
「…ありがとう」
頭を撫でてくれる紫苑くんの手が優しくて、暖かくて。
安心して、少しだけ涙がこぼれた。