「じゃあ、私ここだから」



公園から5分ほど歩いたところにある普通の一軒家。


燐奈達と歩いたから10分くらいかかったけど。


これが我が家。




「うん。じゃあまた」


「バイバイ」




私と紫苑くんがバイバイをしている間に、燐奈と流星くんも挨拶を終わらしていた。


2人の背中を見送り、燐奈を連れて家の中に入った。





「ただいまー」

「まー!!」



わかってる。
返事が返ってこない事くらい。


それが寂しくてたまらなくなる事くらい。



でも、言ってしまう。



もしかしたら何食わぬ顔でリビングからひょっこりお母さんが顔をだすかも。



なんて、夢みているから。






「燐奈、晩ごはん何食べる?」


「ハンバーグ!」


「んー、材料あったかな…」







吹っ切れた、なんて嘘なんだろう。

まだどこかでお母さんが生きていると信じている。


そう、実感させられるのはそんなに先のことじゃなかった。