「でも、楽しいよ」


「え?」


「私は燐奈のこと好きだし、燐奈も私を慕ってくれるから。学校でも心配してくれる奴とかいて、楽しくできると思ってるよ」




まだ始めたばっかだけどね!と言って笑った。




「侑未ちゃんは強いな。…俺も嫌いではないんだけどな」




そう言った紫苑くんはどこか遠くを見ているようだった。




「ねぇねー!!」


「うぉ!」




紫苑くんの方を向いていたから燐奈が駆け寄ってきているのに気づかず、抱きつかれた拍子に倒れそうになってしまった。




「あぶな…!」



とっさに紫苑くんが手を出して支えてくれたおかげもあって、倒れずに済んだ。




「あ…ありがとう」


「大丈夫?」


「だ、大丈夫。心臓バクバク言ってるけど」





心臓を抑えながら体勢を整えて、紫苑くんにお礼を言った。