そんなこんなでやっと辿り着いた保育ルーム。
1人だと遠く感じるんだよなあ。
「こんにちわー。燐奈迎えに来ましたー」
カラカラと扉を開けると、すぐそこにこの辺りで有名な進学校の制服を着た黒髪のかっこいい男の子がいた。
「あ!侑未ちゃーん!ちょっと待ってね!」
「はーい」
ちらっと横の男の子を見る。
あ、やば。
目が合っちゃった。
どうしよう。
「ど、どうも」
とりあえず声を発してみたけど、無言でぺこりとされただけだった。
「あ、こいつは唄弥紫苑。侑未ちゃんと同じ高校1年だったと思うよ」
なんだか気まずい雰囲気を壊してくれたのはニコニコと笑っている渚さん。

