「ったく…仕方ねーからこれ貸してやる」
差し出してきたのは数学ⅡBと書かれた参考書。
この手法で私は夏までに数学ⅠAを終わらさせられた。
だから、みっちゃんの数学はイヤなんだよ。
「…この授業中に終わったらジュース1本だからな」
「おー、わかったよ」
絶対奢らせてやる…!
チャイムが鳴ったと同時にパラパラと参考書を見た。
ふむ。
プリントの範囲はⅡBのはじめの方だから…。
いけんじゃね?
10分くらい参考書とにらめっこしてから、ペンを動かし始めた。
「んじゃ、今日はここまでー。宿題忘れんなよー」
授業終了のチャイムと共にみっちゃんの声が聞こえて目を開けた。
「で?余裕こいて寝てたお前は、もうプリント終わってんだよな?」
「終わってるよー」
いつの間に目の前に移動してきてたの。
「…本当に無駄に賢いのな」
「無駄にって言うな」
2枚のプリントをみっちゃんに渡してドヤ顔をしてみた。
「…1問ミスだな」
「え!うそ!どこ間違えてた⁈」
「ココ。この問題はこの解き方じゃなくて…」
スラスラと赤ペンで正しい解き方を書いていく。
…わかりやすいから腹立つ。

