「大学はちゃんと自分に合ってるとこ、行きなよ?」
「んー…」
大学…ね。
「まだ先だし、ゆっくり考えるよ」
「そうしな。…で。なんで席を立ってるのかな?」
「え?」
サボろうと思って、なんて言ったら掴まれてる腕、折られそうなくらい怖い笑顔だなー。
「ト…トイレ?」
「なんで疑問系なんだよ。嘘つくの下手だな!」
「正直者だから…」
「そんな正直者はちゃんと授業に出ようねー」
ストンと椅子に座らされ、てきぱきと私の数学の用意をしてくれる。
…なぜ教科書の位置とノートの種類を知っているんだろうか。
「さ、みっちゃんの数学楽しみだね!」
今、この子笑顔でなんて言った?
「え。みっちゃんの数学…?」
「うん」
「金津の数学じゃなくて?」
「うん。どこに行くの?もうチャイム鳴るよ?」
「いや…ちょっと腹痛が…」
そんな笑顔で腕を掴まないで。
振り払えない…!

