孝矢が部屋を出たあと、袴姿の男性はスーツ姿の男性の目を見た。

「やはり"K"で間違えないようだな。柳(やなぎ)、下には頼む」



スーツ姿の男性…柳と呼ばれた男性は、

「承知いたしました」
と言い、袴姿の男性に頭を下げ部屋をあとにした。












誰もいなくなった大きな畳の部屋の上座で、袴姿の男性…司は

「覚悟を決めなければならないな」

と呟いた。誰にも聞かれることは無かったが、司が強く決意した瞬間であった。