** 飛翔 **




「ちひろくんって、有香(ゆか)のことすきぃ~?」

腕に絡み付いて、ベタベタしてくるこの雌。
廊下を歩いているが正直歩きにくくて仕方ない。それでも笑顔を絶やさない僕。

「フフ。僕は女の子、みんなスキだよ?」

「もぅ~!いつもそういうじゃぁん!
有香はね、千尋くんのこと本気だよ!!」


と言ってくるユカチャン。








一体、僕の"何が"好きなのだろうか。
顔?地位?それとも性格?欲求処理道具になるから?

"好き"なのは、僕の外見だけなのだろう。
僕が何を感じて何を考えているか知ろうともしない雌が、"本気"なんて言葉を口にするな








と心の中で思いながらも、
にこにこしながら、靴箱へ向かっていた。




こうやって僕はいつも心の中で本当のこと言うけど
決して表には出さないようにしている。

幼い頃からこうやって育ってきたから、癖みたいなものだよね。