これに気を良くするのはお調子者の各務なら当然といえば当然で。


「知ってるよー! 1年の特進クラスの吏那ちゃん。
椎名っちみたいな無愛想無気力男だけじゃなくて俺とも仲良く……って椎名っち!! 肩の骨が砕ける!!」


涙目になった各務が体を大振りで捩らせる。


どうやら俺は各務の肩を掴んだ手に暴力的なまでに握力を加えていた。


「勝手なことばっか言ってんな。
吏那に馴れ馴れしくするんじゃねぇよ」


ひどく業腹で、救いようがない。


各務は俺の威圧にびくついたものの立ち直りと開き直りの素早さは天下一品。


「別に椎名っちの彼女じゃねぇだろー。
椎名っちがそれ言う資格ないんじゃね?」