吏那の大きな目が見張られ、潤みが増す。


「周りにどう思われるか憶測たてるより、吏那が優先したい気持ちはねぇのかよ」


その眦で持ち堪えている雫を拭おうかと腕を伸ばしかけ、一瞬の躊躇。


急激に吏那に触れるってことを意識したからだ。


「ま、吏那が嫌なら別に構わねぇけど」


その手で頬杖をついたのは不自然にならなかっただろうか?


目を眇め、冗談っぽく言うと、

「そんなことあるわけないです!!」

と、吏那は勢いよく立ち上がり、拍子に椅子が倒れた。


無言で俺より目線が高くなった吏那と見つめ合った後。


「わかったって」

「ご、ごめんなさい!!」