眠れる森の彼女

「は?」


俺の目つきが鋭くなったからか、反射的に吏那は肩で反応した。


「私はいつも一人で、その……みんなに煙たがられてると思います。
私と一緒に居たら椎名先輩まで悪く思われるんじゃないかって……」


吏那がここまで自分を肯定できない理由はなんなんだ?


そういえば教室まで俺にジャージを届けに来た時も、表情がぎこちなかった。


2年の教室だからかと思ってたけど、違うのか?


「そんな心配いらねぇよ。俺は誰にどう思われようが構わねぇ」


そう断言すると、吏那は俺を見つめたまま、力の抜けた笑みを浮かべた。


「椎名先輩は強いですね……」