眠れる森の彼女

恥じらっているのか顔を見られたくないのか吏那は頭を上げない。


「これ、乾かさねぇとな」


俺は水分を膨大に含んだジャージを搾る。


俺のジャージを脱ごうとしなくなったものの、まだ俺に気を使っているらしい。


「椎名先輩に迷惑かけたくないんです……」

「迷惑か迷惑じゃねぇかは俺が決めるって言っただろ」

「……」

「美術室なら乾くか」


校舎の時計を確認すると、6限も既に半分が終わろうとしている。


「今から授業出ても仕方ねぇし、吏那も一緒にサボるか?」

「え……?」


戸惑いながらも、じっくりと俺を見つめる吏那。


俺は口角をニィッと上げて、

「共犯な」

と吏那に悪魔の囁きを仕掛ける。


「はい……!!」