眠れる森の彼女

「どういう理由なんですか」


俺もそう思う。


けど、うまく説明出来そうにねぇ。


「素直に着てな。吏那」


水道場の上に置いてあったタオルを手にとり、袖を捲って濡れたままだった吏那の手を拭いてやった。


俺にされるがままの吏那は沈黙している。


そんなに嫌だったか。


「吏那?」


後ろから顔を覗く。


新雪のような白い肌が耳や首まで真っ赤。


そこで気がついた。


これは俺が吏那を背後から抱き締めている体勢だということを。


「──っと。悪い」


吏那から腕を離して距離をとる。


吏那の照れが移ったのか急激に意識したのは、俺のポーカーフェイスに出なかったらしい。