織原が軽く笑いながら、俺に小声で伝えた。
「知らねぇ。ちょっと俺、抜けるわ」
「はいはい。いってらっしゃい、万威」
織原にサボり宣言をして、体育教師の目を盗み、グラウンドからエスケープした。
吏那の悪評が気にかかると言えども、別に俺自身が吏那を悪く思ったりはしていない。
吏那がサボり魔だろうが居眠り常習犯だろうが構わない。
ただ事実がどうであれ、俺は吏那について知らないことばかりだとまた思い知らされる。
菓子は抹茶味しか食べられないということも、
好きな食べ物はエイヒレだと恥ずかしそうに教えてくれたとしても、
──もっと吏那を知りてぇ。
そう、強く、欲してしまう。
「知らねぇ。ちょっと俺、抜けるわ」
「はいはい。いってらっしゃい、万威」
織原にサボり宣言をして、体育教師の目を盗み、グラウンドからエスケープした。
吏那の悪評が気にかかると言えども、別に俺自身が吏那を悪く思ったりはしていない。
吏那がサボり魔だろうが居眠り常習犯だろうが構わない。
ただ事実がどうであれ、俺は吏那について知らないことばかりだとまた思い知らされる。
菓子は抹茶味しか食べられないということも、
好きな食べ物はエイヒレだと恥ずかしそうに教えてくれたとしても、
──もっと吏那を知りてぇ。
そう、強く、欲してしまう。
