眠れる森の彼女

体育なんて適当に流そうかと思っていたのに、パスが届くと体が勝手に反応し、蹴ったボールは三人抜いてゴールネットを揺らした。


「椎名ーっ!! 今からでも間に合う!! サッカー部に入ってくれ!!」


他のチームと交代する途中、サッカー部の奴らに囲まれ勧誘された。


「やだ。疲れるし」


呆気なく一蹴し、俺はその輪を無愛想に抜ける。


部活なんてしてたら金が稼げねぇだろうが。


「うおーっ! 俺も椎名になりてぇぇぇ!!」

「神様、不公平すぎんだろ!!」

「椎名にばかり何物与えりゃ気が済むんだよ!!」


背後で吠えている奴らには構っていられない。


「万威は男にもモテるな」