眠れる森の彼女

ショートカットを揺らし、ナミがからから笑う。


「別に」


やべぇ。吏那の響きに反応しすぎた。


吏那との関係を詮索されるのは面倒だし、何より誰にも割り込まれたくなかった。


俺に吏那を独占する権利なんてないくせに。


「まさか……付き合ってるわけじゃ……」

「ねぇよ」

「そっか」


あからさまにホッとしたような嬉しそうな声に変わるナミ。


「バレー部の1年に聞いたんだけど、紅月吏那ちゃんって評判最悪みたいだからさ」


調べられてるのかよ。


と、げんなりしたのと同時に聞き過ごせなかったナミの台詞。


「最悪?」