眠れる森の彼女

織原が目で示した先、女子の臙脂色のリボンに、シルバーに煌めくネクタイピンがつけられている。


明らかに本来の役割を担っていない。


「松本さん。特進コースの奴と付き合ってるからね」

「そんなのが流行ってんのか」


全然、知らなかった。


もう高校生活の折り返し地点だというのに、いかに俺が周りに無関心だったか知覚する。


「さつきちゃんもリボンにネクタイピンつけてたんだよ。椎名っちのじゃ……」

「ねぇよ」


疑惑の目つきを向けてくる各務にはっきり答える。


「つーことは、つい最近さつきちゃんは椎名っちに告ってたのに、もう別の彼氏が出来たってことかああ!!」