機嫌が損なわれたのを露骨に表情で出しても、各務に効き目はない。
「だから、さつきちゃんに椎名っちのネクタイピンが……」
「は? わかるように話せ」
「万威がその手の話に興味を示す訳ないだろう」
喚く各務を窘めるように肩へ手を置き、織原が割って入った。
「桜高に入学した時、校章が刻まれたネクタイピンをもらったの覚えてるか? 誰も使ってないやつ」
「ああ。そうだったな。何処にやったのか覚えてねぇけど」
「桜高では彼氏のネクタイピンを彼女がリボンにつけるのが流行ってるんだよ。
ほら。うちのクラスの松本さんもつけてる」
「だから、さつきちゃんに椎名っちのネクタイピンが……」
「は? わかるように話せ」
「万威がその手の話に興味を示す訳ないだろう」
喚く各務を窘めるように肩へ手を置き、織原が割って入った。
「桜高に入学した時、校章が刻まれたネクタイピンをもらったの覚えてるか? 誰も使ってないやつ」
「ああ。そうだったな。何処にやったのか覚えてねぇけど」
「桜高では彼氏のネクタイピンを彼女がリボンにつけるのが流行ってるんだよ。
ほら。うちのクラスの松本さんもつけてる」
