俺からすれば、その人好きする笑い顔がうさんくせぇんだけど……。


「さっすが織原くんは優しいなー。無気力な椎名の二連覇を阻止してよ」

「まさか。万威(マイ)に敵う男いないって」


刺々しいナミに織原は爽やかに答えた。


ナミは織原を撮り終えると先に吐き出されていた俺の写真をパタパタ振る。


さっきまで真っ白だった長方形の其れには、やる気のない俺の顔が浮かび上がってきていた。


毎年11月の文化の日に合わせて行われる桜山高校文化祭。


伝統となっているらしい文化祭の目玉行事ミスター&ミスコンは投票で決まる。


昨年1年だった俺は隠し撮りされた写真で知らぬ間にエントリーされ、最多得票で栄えあるミスター桜高に選ばれた。