痛々しい嘘だ。


俺が黙していたからか、吏那は先の言葉を急いだ。


「だから昨日の夜、お母さんにお弁当を作ってって頼んだ時、とっても嬉しそうでした。椎名先輩のおかげです!」

「俺の?」

「はい。椎名先輩のおかげで私の上履きとか教科書とか私のものが無くならなくなりました」

「それ、俺のせいじゃねぇって」

「椎名先輩のおかげです」

「俺じゃねぇよ」

「椎名先輩です!」

「吏那は意外に強情」

「椎名先輩こそ」


吏那が控えめに笑う。


不毛な言い合いが何故か楽しい。


俺の行動が正解かはわからないけど、吏那が喜んでくれてるならいいかとも思う。