眠れる森の彼女

聞いてはいけない話題だったのかと直感で悟る。


けど、吏那は痛みに耐えるような苦い笑みを滲ませて続けた。


「私のお弁当箱、しょっちゅう無くなってしまうんです。いつも、ごみ箱に中身をひっくり返された形で捨てられてました……」


心臓に何かが刺さったような感覚に襲われた。


「私のお弁当箱が捨てられたことより、私のために作ってくれたお母さんの気持ちを思ったらつらくて、とても申し訳なかったです」


どうして吏那が過ちを悔いているような表情を浮かべているのか。


俺は歯噛みしていた。


「だからお母さんには『購買のパンが食べたいから』って嘘をついて、しばらくお弁当を作ってもらってなかったんです」