眠れる森の彼女

二段だとは言え、体積の乏しいいかにも女子の弁当箱。


「足りますよ。私、いっぺんに余り食べられないので……」


吏那は水筒のカップにぼとぼと注ぎながら、笑顔を作る。


俺も食には執着があるタイプではない。


「椎名先輩こそ、パン1個だけですか?」


俺の前に置かれた包装されたままのメロンパンに視線を遣って、吏那が問う。


やべ。まだ食ってなかった。


「昼はこれで充分」

「メロンパンが好きなんですか?」

「購買のな」

「コーヒー牛乳もですか?」

「そっちは別に。この学校、冷たいココアねぇし」