***
──少しも落ちつかねぇ。
昼休みの美術室で一人、コーヒー牛乳のパックを飲みつつ、ちらちら扉に目を遣る自分が女々しくて嫌になる。
もう昼休みも半分は過ぎ、普通の生徒だったら昼食を食べ終わって談笑に入っている時分。
来ないってことが吏那の答えだろう。
諦めが気持ちを塞ぐ。
ん?
諦め?
ってことは俺、吏那に期待してたのか?
──ガラッ
その扉は唐突に開いた。
「椎名先輩……遅れました」
桜高指定のブラウン革のバッグを狭い肩に引っ掛け、吏那が現れた。
──少しも落ちつかねぇ。
昼休みの美術室で一人、コーヒー牛乳のパックを飲みつつ、ちらちら扉に目を遣る自分が女々しくて嫌になる。
もう昼休みも半分は過ぎ、普通の生徒だったら昼食を食べ終わって談笑に入っている時分。
来ないってことが吏那の答えだろう。
諦めが気持ちを塞ぐ。
ん?
諦め?
ってことは俺、吏那に期待してたのか?
──ガラッ
その扉は唐突に開いた。
「椎名先輩……遅れました」
桜高指定のブラウン革のバッグを狭い肩に引っ掛け、吏那が現れた。
