眠れる森の彼女

「椎名くんに迷惑かなと思ったんだけど……」


吏那と似たような台詞。


なのに、この女だと押し付けがましく感じるのは何故だろう。


優先させているのが自分か相手かの違いか?


本当にそう思ったならするなよ。


「私、椎名くんのこと好きで……」


二十代半ばくらいか?


女性誌が教科書とでも言いたいように髪も服装も流行に添った女。


早く帰って寝たい。


欠伸が出そうになったのだけは、さすがに噛み殺した時、

「付き合ってくれるなんて思ってないから、体だけでもいいよ」

女がアホなことを宣いやがった。


心が冷え込み、冷めた目で女を見下ろす。


「バイトしてるってことはお金ほしいんでしょ?
安月給だから、あんまり出せないけど……」