眠れる森の彼女

吏那が何を言っているのか頭に浸透していかない。


「私、余り人に良く思われていないので、その……」


自分を卑下する吏那に胸が痛む。


同時に腹の底から迫り上げる苛立ちも。


俺に気を遣ってるってわけか。


吏那をそう気弱にさせている原因は何なんだと、苛立って仕方ねぇ。


「迷惑か迷惑じゃねぇかは俺が決める」


長い睫毛を半分伏せていた吏那が視線を上げた。


──俺へと真っ直ぐに。


「第一、迷惑だと思ってる女を誘うほど、俺はイイヒトじゃねぇんだよ」


愛想のない、きつい語調になった。


「無理強いはしねぇ。吏那が来たかったら来い」