眠れる森の彼女

こうして対面すると吏那は本当に小さく華奢だ。


150そこそこしかないうえに俯いているから、頭の天辺がよく見えた。


分け目は若干左、と。


「あの……昼休みはありがとうございます。
上履きが無くなっ……忘れていたので、とっても助かりました」


はにかみながら、そっと俺を見上げる吏那。


女の上目遣いがヤバいってこういうことなのかと初めて認識する。


本人、全く自覚はないだろうところが小癪だ。


「礼を言われるようなことはしてねぇよ」


何でか脇腹をつつかれているようなむず痒い感覚に襲われる。


「そんなことないです。私、椎名先輩が来てくれて、人生ひっくり返るくらい嬉しかったんです!」