眠れる森の彼女

母親は今の俺と同じ17歳の時に俺を生んだ。


家庭環境が悪く、身一つで田舎から逃げるように上京した母親。


中卒で金もないガキが冷たい都会で生きていけるはずもなかったが、母親には武器があった。


誰もが無視できないほどの存在感を放つ圧倒的な美貌。


運が良ければ、芸能プロダクションにでもスカウトされて女優やモデルで通用したかもしれない。


だけど母親が落とされたのは夜のネオン街。


誰が親ともしれない俺を孕んで、一人で俺を産み、また生きるために“女“を使う。


男に媚びを売り、抱かれて、金を手に入れる。


娼婦でしか生きられない運にも見離された哀れな女。


あの女の股から自分が吐き出されたのかと思うと、ゾッとする。