眠れる森の彼女

***


「っあっ……ああっん」

「チッ」


いつも通り猛さんに賄いを食わせてもらってから帰宅した。


自宅の玄関扉を開けた途端、嬌声が出迎えて舌打ちが出た。


築何十年も経過した鉄筋の集合マンション。


そこの503号室が俺の家だ。


家でヤるなって言ったのに。


何処までもだらしないふしだらな女。


それが俺の唯一の肉親である母親だった。


リビングの扉がうっすらと開いている。


廊下を進みながら、ちらりと視線を向けると、母親が男とソファーで絡み合っていた。


喉渇いてるのに取りにいけねぇな。


こんな状況にもう慣れている俺は、そのまま風呂場に直行した。