眠れる森の彼女

一粒の涙が古ぼけたノートに落ちた。


シャーペンで書かれた字が歪む。


「俺は……」


みっともねぇ。


けど、涙が止まらねぇ。


デキたから俺を仕方なく生んで嫌々育ててたんじゃねぇのかよ。


何なんだよ。


今更すぎんだろうが。


『×月×日
やっぱり万威は笑ってくれない。

どう接していいかわからなくて、つい話しかけられなくなっちゃう。

万威といっぱい話したいのにな。

保育園で万威に何があったのか聞きたいのにな。

仕事行きたくないなあ』



『×月×日
今日は保育園の参観日。

だけど私が行っても浮いちゃうだけだし、若すぎるってウワサされてんのも知ってるし、万威が恥をかいちゃうね。

だから、こっそり木陰から覗いてきた。私、キモい』