眠れる森の彼女

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俺は脳に異常も見つからず、足と肋骨を何本か単純骨折しただけで、一般病室に移された。


あの事故の規模でこれだけ外傷がなかったのは、奇跡のようだと医者は言った。


入院生活は苦痛だ。


代わる代わる警察の人間がやってきて心が休まらない。


母親は死んだ。


そして、殺人事件。


報道もされているらしいが、あえて全てを遮断した。


俺は殺人未遂事件の被害者でもあるし、未成年だし、身内は他に居ないしで、とにかく手続きやら何やらが厄介らしい。


けど、法律関係に詳しい吏那の父親が俺を助けてくれていた。


厳格で笑いもしないからいつも緊張する。


『吏那は君のおかげで笑顔を取り戻した。礼を言う』


と、言われたこともあるから、どうやら嫌われてはいないらしい。