眠れる森の彼女

椎名先輩はいつも自分を犠牲にして私を助けてくれるんだ。


「私のせいで……椎名先輩が……」

「吏那のせいじゃない」

「私のせいだよ! 私が轢かれれば良かったのに!!」

「黙れ!」


お兄ちゃんに一喝され、心臓が縮こまる。


「二度と言うな。命を賭けて吏那を助けたアイツに失礼だろ」


そんなこと言われたって……。


「お願い……椎名先輩を助けて……」


椎名先輩のお母さんに頼まれたの。


椎名先輩を助けてくれって。


もうすぐ私が着くことを知ってたから、椎名先輩のお母さんは最期の力を振り絞って、はいつくばってでも、私に伝言を託した。


椎名先輩はちゃんとお母さんに愛されてたよ。


でないと、椎名先輩みたいに人に優しくできる人間にならないよ。


ねぇ、椎名先輩。


まだイルミネーションだって一緒に見てないよ。


私がどれだけ楽しみにしてたか知らないよね?


「椎名先輩……私を置いていかないでぇ……」


ぐりぐりとお兄ちゃんの服に顔を押し付ける。