眠れる森の彼女

「吏那の傷は大したことない」

「私……いったい……」


頭の中で稲妻が走り、全てを思い出す。


『……万威をだずげでぇぇ!!』


椎名先輩のお母さんの残響がまだ耳の奥から消えていない。


「椎名先輩は……?」


お兄ちゃんは私を見据えた後、

「ICUだ」

と、低く答えて目を逸らした。


「ICU?」


怖い予感しかしない。


氷が滑り落ちていくみたいに背筋が凍った。


お兄ちゃんの次の言葉を聞くのに怯えていた。


「万威くんは車に轢かれて、まだ目を覚まさない」

「!」

「吏那!!」


私はベッドを飛び出して裸足のまま廊下に出た。