眠れる森の彼女

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少し早く着きすぎたか?


東口改札から見える壁掛け時計は14時30分を示していた。


待ち合わせが多いのか、俺と同じように人待ち人で駅周辺は溢れ返っている。


それにしても寒い。


吐息は白く、澄んだ空気にふわりと溶ける。


この時間でも日は傾き、昼の短さと空の低さを実感させた。


温かいココアでも買うか。


改札口の隣に三台並んでいる自販機の前に移動した。


「見つけた……」


ゾクッと言い知れぬ悪寒が走る。


振り返れば、血まみれのナイフを握った中年男がぎらついた目で俺だけを見ていた。


周りの人間は男が持つ刃物に気づいたのか、あちこちから悲鳴が上がり、逃げ惑っていた。