眠れる森の彼女

「お願いです……椎名先輩を助けてください……」


お母さんの意思を繋ぐように、ひたすら電話越しに懇願していた。


なりふり構わずに走って、タクシーに飛び乗り、椎名先輩と待ち合わせしている駅へ向かう。


椎名先輩を助けて……!


とにかく、ひたすら、ひたすら、その一心。


椎名先輩を失う恐怖に、周りの景色も音も遮断されている。


濁流に飲み込まれ、気が動転して冷静な判断なんて出来なくなっていた。


あれほど一人で出歩くなって言われていたのに……。