眠れる森の彼女

あれ?


なかなか出てこないな。


もう一度チャイムを鳴らす。


やっぱり応答がない。


恐る恐るドアノブを回す。


あっけなさすぎるくらいにすんなりとドアは開いた。


「お邪魔します……」


ゆっくりと扉を開いていく。


途端に何か変な臭いが鼻孔を襲った。


鉄みたいな、生理の時の臭いがきつくなったような……。


「……吏……那ちゃん……」

「ひっ!!」


掠れた声で名前を呼ばれ、思わず飛び上がる。


あの開けられた扉の向こうから……?


退きたい気持ちを押さえ込んで前に進む。


廊下を歩くたびに、ぎし、ぎしと、床が鳴った。


リビングの様子が視界に入り、言葉を失う。


想像を絶する光景は目から脳への伝達回路を切断した。


夥しい量の血溜まりの中に、椎名先輩のお母さんが倒れている。


はいつくばって動いてきたのか血がカーペットに続いていた。