眠れる森の彼女

「万威くんの家に行く?」


運転席のお兄ちゃんが怪訝に一瞥してくる。


「うん。椎名先輩のお母さんがね、椎名先輩が居ない間にアルバムとか見せてくれるって」

「いつの間に吏那は万威くんの母親と連絡とってたんだよ?」

「椎名先輩と新宿に行った時、偶然会ったの。
で、実はこっそり名刺を握らされてて、連絡してみたんだ。
たぶん椎名先輩は気づいてないと思う」

「大丈夫なのかよ?」

「大丈夫だよ! 椎名先輩のお母さんが待ち合わせ場所まで送ってくれるって」

「あんまり悪く言いたくないけど、万威くんは万威くんで、母親は母親で別人だ。全面的に信じるのはどうかと思うぞ」